「小池百合子」はカイロ大学を卒業しているのか? 「学歴詐称の真偽」に白黒つける【中田考】
■小池百合子のカイロ大学卒業証書は本物か?
今回掲載した写真は、私のカイロ大学での博士号取得証明書です。
博士号の取得は1992年、発行は1993年です。昔のものなので、タイプライターで書かれています。学長、学部長、会計係それぞれの署名があり、博士号の取得だけではなくて、取得したテーマについても記述があります。優・良・可でいうと良にあたるSecond Honour’sで取得しています。
この書類で重要になるのは名前です。名前がHassan Ko Nakata(ハサン・コウ・ナカタ)とありますが、これがパスポートの名前と異なっているんですね。
アラビア語の命名システムは、「自分の名前・お父さんの名前・おじいさんの名前」になります。ですから「ハサン・コウ・ナカタ」と表記した場合、「ハサン」は私の名前、「コウ」は私の父親の名前、「ナカタ」は私の祖父の名前と、普通は理解されるんです。全然違うものなんですね。
ところが大学に入る時、うっかり自分の名前をエジプトでの通称「ハサン・コウ・ナカタ」と書いたら、証明する文書も要求されずに見せずに登録されてしまったんですけれども、最後に博士号を取るときに、「パスポートと名前が違うじゃないか」と言われまして、それで後から変更してもらいました。
カイロ大学もそうですし、エジプトはそういう、日本の感覚からすればだいぶ適当なところなんです。
小池百合子さんが93年に公開したカイロ大学の卒業証書ですが、真贋はわかりませんが、私は基本的に信憑性高いと思っています。
カイロ大学の成績評定は5段階で、5段階目が不可です。A・B・C・D・EでEが不合格ということです。
小池百合子さんが公開された証明書での評定はCに相当します。わざわざ評価の低い証明書なんて偽造しないでしょうから、信憑性は高いと思います。
大学から卒業証明書ではなく、「小池百合子は卒業生」という声明が出てきたのは、多分現物が無いからでしょう。カイロ大学もエジプトも、そもそも記録が保管できるシステムになってない。私も博士号を取ってから2年経ってもけっきょく博士の学位記はもらえませんでした。最初からそれは予想できたので、取りあえず貰える博士号取得証明書はもらえるうちにできるだけたくさんもらっておこうと思って4枚もらったのです。多分、学位記は結局今も作られないままうやむやになってしまったと思います。学位記や証明書の許になる名簿自体、40年前のオリジナルの原本なんて探そうにもとっくになくなっているのではないかと思います。カイロ大学には「卒業した」と宣言する資格があるわけですから、それでいいんじゃないですかね。
小池さんの評定は下のほうですから、「首席」というのは嘘というか、そもそも「首席」というのが何を意味しているか、これはわからないですよね。
カイロ大学の首席のわけはないし、文学部のわけもない。社会学科の首席だった、あるいは外国人の首席だったのかもしれないけれど、「どこの首席」って書かれてないから、嘘とも言いきれないと思います。